管理栄養士の塩分に関する様々なお話

管理栄養士の立場から、食事にまつわる塩分の様々なお話をします。

地域によっても違う塩の量とは?

皆さん、こんにちは!

食塩は日本が1番多く摂っていますが、その日本の中でも都道府県によって大きな差があることはご存知ですか?

そこで、今回は食塩を多く摂っている都道府県、食塩をあまり摂っていない都道府県を調査してみました。

男女差もややありますが、それによって結果が大きく変わる地域はありませんでした。

 

・食塩を多く摂っている都道府県

1位岩手県

2位青森県

3位山形県

 

東北地方が独占ですね!

塩は体を温める働きをしているため、寒い地方では塩をよく利用しています。

寒い時期に食べる鍋物は体をよく温めてくれますよね!

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秋田県名物のきりたんぽ、山形県名物の芋煮などを例に出してみても、醤油やみそベースで作っているものが多く、塩分が高くなりやすいものが多いです。

さらに、東北地方は高血圧の患者の割合がとても多いです。

青森県にいたっては平均寿命は男女ともに全国最下位なのです!

青森県民の7割が食塩摂取目標量8gのところを10.5gも摂っているという結果も出ています。

 

・食塩をあまり摂っていない都道府県

1位沖縄県

2位高知県

3位大阪府

 

沖縄は、よく汗をかくため塩辛いものを欲するのでは?と考える方もいますが、そんなことはありません。

実は、沖縄は日本でも断トツで食塩の摂取量が少ない都道府県なのです。

まず、1年を通して暖かい気候というのがポイントです。

暖かい地域は他にもありますが、沖縄ほど寒暖差が少ない地域はありませんよね。

この寒暖差は人間の体に負担がかかり、足りない栄養素を補おうとするのです。

毎年のことなので、知らず知らずのうちに体の負担は増えています。

これが、寒暖差が少ない沖縄だと、1年通して過ごしやすく体の負担も少なくなります。

したがって、季節によって体を温める理由もなく、あまり塩辛いものを好まれないのかもしれません。

 

また、有名な沖縄そばやゴーヤチャンプルなどは、薄味のイメージがあります。

鰹だしをよく効かせることで、余計な調味料を入れずにおいしくできます。

 

3位の大阪府でよく食べられる関西風うどんも昆布だしがとても効いていて、透き通った薄味のつゆが多いです。

 

このように、食塩の摂取量は都道府県によっても大きな差があります。

昔からの習慣や郷土料理、1年の寒暖差、だしの使い方などの違いから食塩の量も変わってきます。

自分が食塩の多い地域に住んでいるなら、無意識に塩分を多く摂っている可能性があるので注意しましょう。

また、塩分の少ない地域だといっても安心せずに、減塩に取り組んでいきましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

塩は細菌類の増殖を抑える!

皆さん、こんにちは!

 

今回は塩を使うとどのような効果があるのか?を掘り下げてみたいと思います。

以前にも、ちらっとお話ししましたが、加工食品には賞味期限が長い商品が多いです。

これらの加工食品には塩が多めに使われているので注意!ということでした。

 

塩の名誉挽回のために行っておきますが(笑)塩自体は悪いものではなく、すごい効果を持っているのです。(何回も言っているように摂りすぎはだめですが)

 

塩は味付けに使われていることはもちろんですが、他の理由から塩を利用している食品も多くあります。

家庭で作る料理はやや濃いめの味付けで作ると長持ちします。

 

そもそもなんで塩辛いものは長持ちするのか?

単に塩辛いだけで長持ちしているのではなく、塩の持つ「浸透圧」の作用をうまく利用しているからです!

 

「浸透圧」は塩をかけると食材から水分が抜けるという性質でしたね。

その時、水分だけが抜けるのではなく、細菌類の繁殖も予防できるのです。

細菌類の繁殖が進まなくなれば腐敗も進みにくいですよね。

その結果、食品が長持ちし賞味期限が長くなることになります。

 

例えば、漬物の浅漬けは賞味期限も近く塩分もそれほど多くありません。

浅漬けは1食分で約0.7gの塩分になります。

塩分を気にされている方で漬物をどうしても食べたい!という場合にはおすすめです。

 

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一方、たくあん漬などは賞味期限が比較的長いです。

たくあん漬けは1食分で約1.4gです。

なんと、浅漬けの2倍の塩分になってしまうのです!

長持ちするということは・・そう、やはりたくさんの塩分が使われているということになりましたね。

同じ漬物でも、種類によってこのように塩分の違いがあります。

 

塩分を気にされている方は、もちろん、塩分量の記載を確認するのがベストですが、賞味期限を見て塩分の量を想像するのもおもしろいですね。

 

また、食品に「食塩〇%カット」「減塩」などと書いてあることがありますが、このような食品を選ぶのも一つの方法です。

 

減塩してある食品の注意点として、一般的に減塩の食品は通常の商品よりは長持ちしません。

しかし、すぐに食べる予定があるなら全然問題ありませんよね。

通常の食品と比べても味がほとんど変わらなく、おいしく食べられる食品が多いので上手に利用していきましょう。

 

以上、塩は浸透圧で細菌類の増殖まで抑えるとはすごいですね!

浸透圧までは知っていたかはともかく、塩を使えば長持ちすると保存食を作っていた昔の日本人は素晴らしいです。

 

減塩のための塩と使い方!

皆さん、こんにちは!

前回、塩の大まかな種類とどんな料理に使えば相性が良いのかお話しました。

海で採れる塩は魚介類、岩塩は肉類に使えば食材の美味しさを引き出してくれるんですね。

 

今回は、その塩を上手に使っていくためのポイントです。

塩はやはり塩分が多いので使いすぎると、高血圧の原因となります。

塩を使い過ぎずにきちんと塩味を出したい場合は塩を最後に入れることが大切です。

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例えば、食材の下ごしらえに塩を使いますね。

でも、食べても塩味はほとんど感じません。

これは、時間と共に食材に塩が染みていくため使った塩の量より塩味を感じにくいのです。

 

また、料理の「さしすせそ」と言われているものは塩が2番目ですね。

確かに味をまとめたりするためには、塩を入れる時はこの順番が正しいのですが、減塩のために少し工夫してみましょう。

塩を入れる時はあらかじめ少なめに入れて、料理が出来上がった時に、味を見てから加えていくのです。

 

 この方法をスナック菓子に応用している商品もあります。

スナック菓子は塩味が効いていて塩分が多そうだな〜と感じる方も多いですが、出来上がった後に塩を振っている商品は意外と塩分か多くありません。

 

料理に使用するタイミングも大切なのですが、皆さんは、減塩塩という商品は聞いたことがありますか?

見た目は普通の塩なのに、 塩分が半分という驚きの塩なんです!

 

普段私達が食べている塩には塩化ナトリウムという物質が99%、他のミネラルが1%ほど含まれています。

この塩化ナトリウムが塩分の元です。

 

減塩塩は、塩化ナトリウムの代わりに塩化カリウムという物質を使用します

塩化カリウムは塩分が多くないので、塩化ナトリウムを、減らした分だけ塩分が減る仕組みです。

 

じゃあ塩化ナトリウムを全て塩化カリウムに変えて塩にしたらいいのでは?と思う方もいるかもしれませんが、実は塩化カリウムは苦味のある物質なのです。

塩化ナトリウムと塩化カリウムのバランスが良くないと苦くて調味料にならないので、美味しさを保てる割合で、各メーカーが減塩塩を作っているのです。

 

この減塩塩は、塩分を制限しなければいけない方には強い味方になります。

 

ただし、腎臓病の方には減塩塩は使用することができません。

塩化カリウムという物質は、腎臓病を悪化させる可能性があります。

医師から塩分の制限を指示されている方は、腎臓病の場合もありますので、減塩塩を使い始める時は確認してからにしましょうね。

 

 

 

食材に合った塩を選んでお料理上手に!

皆さん、こんにちは!

数回に渡って減塩の方法を説明しましたが、今回は少し違ったテーマでいきたいと思います!

それは「塩の種類」についてです。

塩にもたくさんの種類がありますね。

日本で作られた塩は少なく、多くが外国産の塩になります。

 

スーパーにずらっと並んでいる塩ですが、どれを選べよいかわからなくて、結局いつもの食塩にしてしまったり・・よくありますね笑

 

でも、塩の知識を少し身につけて、料理によって使い分けができればお料理上手の仲間入りです!

塩の上手な使い方と選び方を知ることにより、食材をよりおいしく調理して食べましょう!

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塩の種類を大きく分けると製造した方法(または採れた方法)で3つになります。

塩のパッケージの表示にも書いてありますので確認してみましょう。

 

・海水塩

名前の通り、海水から作られた塩のことです。

メキシコやオーストラリアが有名です。

塩の作り方として想像しやすい一般的な塩ですね。

海水のカルシウム、カリウムマグネシウムなどのミネラルが含まれています。

塩気のバランスが良いため、どのような料理にでも使いやすい塩ですが、魚介類などの料理に特に向いています。

スーパーに多く並んでいる食塩も海水塩の種類になります。

しかし、食塩は精製しているため、ミネラル分はあまり含まれていません。

 

・岩塩

アメリカ、ヨーロッパ産のものが多いです。

昔、海があった場所に年月をかけて層ができ、そこから採れた塩のことを岩塩と呼びます。

きれいなピンクの塩などが有名ですね!

岩塩は海水塩より塩気が強いため、ステーキ肉など素材の味を生かすシンプルな料理ににおすすめです。

天ぷらや刺身にも岩塩を出すお店もあります。

天つゆや醤油より、食材の味がより引き立ちますね。

また、岩塩は採れる場所によって、食用には適さないものもあります。

食用にならないものはお風呂用のソルトなどにも利用されているようです。

 

・湖塩

モンゴル、オーストラリアなどで摂れることが多いです。

また、死海カスピ海なども有名ですね。

湖塩とは塩分濃度が比較的高い湖で作られた塩のことです。

塩味がきつくなく、やさしい味のものが多いので時間をかけて作る野菜の煮込み料理などに向いています。

味がまろやかになり、食材がさらにおいしくなります。

 

以上3つの塩の種類を説明しました!

海水塩には魚介類、岩塩には肉と採れた環境に近いところにある食材と相性が良いことが多いです。

この覚え方は分かりやすいので、塩の選び方の参考になりますね。

 

 

 

減塩と血圧の味方はカリウム!

皆さん、こんにちは!

前々回、前回と塩分を減らすコツについてお話しました。

今回は、塩分をより多く体から排出するための方法をお話ししたいと思います。

 

そんな方法があるの?じゃあ塩分制限をしなくていいね!

なんて思ってはいけません・・。

やはり減塩の食事が基本だからです。

今回は、食事と組み合わせたらより効果的という方法なので、塩分の多い食事には

引き続き注意しましょうね。

 

・高血圧にはカリウムが味方

塩分を摂りすぎると血圧が高くなりやすいです。

カリウムとはナトリウムと一緒に体の中の水分量と塩分量を一定に保っている物質です。

カリウムには体の中のナトリウム(塩分)が多いときに尿に余分なナトリウムを排出させる働きがあります。

余分なナトリウムが減ると血圧も改善できますね。

血圧を気にされている方、塩分を多くとっている方は日ごろからカリウムを多く取りましょう。

 

カリウムが多い食品

カリウムはどんな食品に含まれているのかというと、野菜、果物、いも類、豆類などに多く含まれています。

特に、代表的なものはバナナ、葉物の野菜、さつま芋などでしょうか。

ただし、カリウムは生の状態の食品で最も多く含まれており、ゆでたりすると食品に含まれていたカリウムが流れ出してしまいます。

カリウムが高いままの食品を食べたいなら、生で食べるか、長時間ゆでずにさっとゆでるようにしましょう。

電子レンジで加熱するとカリウムがあまり減らずに良いそうです。

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カリウムが足りない方の特徴

ストレスが多いとカリウムが失われていきます。

ストレスが多い人は、交感神経が刺激されて血圧が上がるリスクも増えます。

また、アルコールを多く飲む方もカリウムが不足しがちです。

 

・どのくらい摂ればいいのか

カリウムは男性で3000mg、女性で2600mgが目標量です。

ちなみにバナナ1本で360mg、ホウレンソウ100gで500mgのカリウムが含まれています。

カリウムは様々な商品に含まれていますので、計算することは難しいですね・・。

 

野菜や果物を多く食べている方は、そうでない方より高血圧が原因の病気(心疾患や脳卒中など)にかかることが少なくなったことが実験でわかりました。

 

よく1日350gの野菜を食べましょう!と言われていますが、350gの野菜を食べれば血圧も上がりにくくなり、血圧が原因の病気の予防になるという根拠のある数字です。

これを目標にカリウムを多く摂って高血圧の予防をしましょう!

 

しかし、腎臓病などでカリウムを多く摂ってはいけない方もいます。

そういう方は、自分で判断せずにかかりつけの病院などに相談してから行いましょう。

塩分を減らすコツ・応用編

皆さん、こんにちは!

前回、塩分を減らすコツと題して、普段摂取している塩分を減らす方法をお話しました。

基本の内容なので、「すでに知っているよ~」「もっと詳しく教えて!」という方もいらっしゃるかもしれません・・。

そこで応用編として、減塩できる方法をさらに紹介していきたいと思います!

 

 

・醤油の種類に注意!

醤油は塩分が多く、もちろん量には注意が必要です。

しかし、醤油の種類の違いによって塩分が違うことはご存知でしたか?

塩分が多い順に並べると「薄口醤油」>「濃口醤油」>「減塩醤油」になるのです。

「薄口醤油」は色が薄いし、塩分も少なそうだな~なんて思っていた方も多いと思います!

普通の「濃口醤油」より塩分量が多いので気を付けましょう。

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ちなみに大さじ1杯の醤油で比べてみると、「薄口醤油」2.9g「濃口醤油」2.6g「減塩醤油」1.4gとなります。

醤油は日本人の1日の塩分摂取量の30%を占めているので、なかなか高い割合です。

 

1日1人当たりの醤油の使用量は平均して17g位といわれています。

ほぼ大さじ1杯と同じなので「濃口醤油」「薄口醤油」を使っていた方が「減塩醤油」に変えるだけで1g以上の減塩になります。

今までどおりの生活を続けるのでストレスもありませんね!

 

ただし、「減塩醤油だから」といって安心して使わずに、量は守ってください★

また、「減塩醤油」には添加物が入っている商品もありますので、ラベルをみて購入することをおすすめします。

 

 

・意外に塩分が多い食品は?

味噌汁など前回説明した商品には、塩分が多く含まれていると想像しやすいと思います。

しかし、塩分は塩辛いと感じない食品にも多く含まれています。

例えば、ちくわやさつま揚げなどの練り物は意外に塩分が多いです。

粘り気を良くして、形を作るために塩が必要なのです。

 

他にもそうめんやうどんなどの麺類も塩分が多めです。

そうめんをゆでた時のゆで汁はしょっぱいので、なるほどな~という感じですね笑

これは、麺を伸ばす工程の時に塩を使ってコシを出していくからです。

麺類を食べるときは麺つゆなどをかけることが多いと思います。

麺だけでも塩分があるので、麺つゆを飲み干したりせずに使いすぎないように食べましょう。

 

このように塩は味をつけるだけではなく、保存料、粘り、コシなどを出すためにも大切な調味料です。

塩がどの位入っているか分からないときは食品ラベルを見てみましょう。

塩分量を記載してある食品が多いので、塩分を少なくしたい方には便利です。

 

 

 

 

 

 

塩分を減らすコツ・基本編

皆さん、こんにちは!

今回は厚生労働省が出している塩分目標量(男性8g、女性7g)を達成するコツについてです。

前回お話した通り、日本人の塩分摂取量は平均で男性11.1g、女性9.4gとなっています。

男性で3.1g、女性で2.4g多い計算になりますね。

和食は塩分の多い食品が多いという特徴がありますが、どのように工夫したら塩分が少なくなるか考えてみましょう。

 

 

①味噌汁は1杯に抑えて-1.5g

今まで3食欠かさず飲んでいた方にはつらいかもしれません・・・涙

しかし、やっぱり味噌汁は塩分が多いので注意するべき料理です。

病院などの高血圧の方用の食事でも味噌汁が3食も付くことはほとんどありません。

このことからも味噌汁の摂りすぎは高血圧に良くないと分かりますね。

もし、味噌汁を飲み干さずに具材だけで満足できるなら、1日2杯までは許容範囲でしょう。

 

 

②“ちょいかけ”の調味料を控えて-1g

食事をする前に、テーブルにあるお醤油を料理にちょっとかけるという方をよく見かけます。

料理を作っている方だとどのくらいの醤油を入れたかなんとなくわかりますね。

しかし、このような“ちょいかけ”をすると料理が出来上がった後、塩分をさらに取ってしまいます。

あまり意識してはいないですが、ちりも積もれば・・で結構な塩分の量になります。

これは使う調理量の種類で塩分が変わりますので調整してみましょう。

 

一般的に醤油よりソース、ケチャップなど洋風の調理料の方が塩分量が少なく、種類によっては醤油の半分以下の塩分になるものもあります。

醤油をかけそうな和風の料理ではなく、初めから洋風の料理を選べば、“ちょいかけ”をしても以前よりは減塩になっているはずです。 

 

 

③加工した食品を避けて-0.5g

f:id:ikkinotdie194:20170805203002j:plainコンビニのお弁当やレトルトの食品などどれもおいしいですが、消費期限の長さに驚いたことはありませんか?

家庭で作ったおかずは冷蔵庫に入れても数日しかもたないのに何倍ももつ食品も多く、不思議ですよね。

 

実は、加工した食品の消費期限が長いのは塩分の多さが理由です。

塩は、保存性を高めるために使われる食品なので今もいろいろな商品に多く利用されているのです。

一人暮らしの方など、加工した食品はとても便利ですが、塩分のことを考えると摂りすぎには注意が必要です。

 

 

これらは塩分が多く、また知らず知らずのうちに摂りすぎている食品なので気を付けましょう。

このような塩分の多い食品から減塩を始めると減塩の効果が出やすいのでお勧めです!